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皆さんこんにちは!
有限会社お茶の山佐園の更新担当の中西です!
山佐園の茶話~part11~
ということで、その実態と背景、今後に向けた課題と希望の兆しを、深く探っていきます。
「日本の風景」と聞いて思い浮かぶもののひとつ、茶畑の広がる景色。しかし今、その美しい風景が徐々に失われつつあります。
お茶農家の人手不足と茶畑の荒廃化は、静かに、しかし確実に進行している地域課題です。
かつて日本の各地で栽培され、文化・嗜好・経済を支えてきた「お茶」は、今まさに存続の危機に直面しています。
農林水産省の統計によれば、日本国内の茶生産農家のうち、65歳以上の割合は6割以上。若い後継者が不足し、廃業する茶農家が年々増加しています。
年 | 茶農家数 | 備考 |
---|---|---|
1990年 | 約9万戸 | ピーク時 |
2020年 | 約1万5千戸 | 約85%減少 |
中山間地域や過疎地に多い茶農家では、「人を雇う余裕がない」「機械化が進まない」などの理由で、人手の確保が非常に困難な状況です。
管理ができなくなった茶畑は、雑草や灌木に覆われ、次第に原野へと戻っていきます。こうした放棄茶園の面積は、静岡・鹿児島・京都など主要産地でも拡大中です。
特に問題となるのが以下の点
周辺農園への害虫・病気の拡散リスク
美観の低下と観光資源の劣化
地滑りなどの防災リスク増加
土地としての価値の下落
茶畑は“常緑樹の畑”という特殊な農地であり、他の作物への転用も難しいため、再利用されず荒れ地になるケースが多いのが現状です。
ペットボトル飲料の普及
ラテやコーヒー文化の浸透
急須でお茶を淹れる文化の希薄化
結果として、家庭用茶葉の需要が大幅に減少し、茶の市場価格は長年にわたり低迷。
例:1kgあたりの茶葉卸価格が、10年で約30〜50%下落という産地も存在します。
茶葉の収穫ロボット(AI搭載)
ドローンによる生育・病害モニタリング
作業記録のデジタル管理(茶園台帳アプリ)
導入コストやITスキルの壁はあるものの、高齢農家でも扱いやすい機器の開発が進められています。
地元中高生やボランティアによる収穫体験
NPOと連携した「放棄茶園再生プロジェクト」
地域おこし協力隊・都市部からの移住支援制度の活用
成功事例
静岡県川根町では、荒廃茶園を若手農家と学生が共同再生し、新ブランド「川根未来茶」を立ち上げ
「玉露」「抹茶」「有機茶」など付加価値をつけた製品開発
農家自らが加工・販売・カフェ運営まで担う例も
SNS・ネット通販を活用したダイレクトマーケティング
お茶農家の問題は、生産者だけでは解決できません。私たち消費者一人ひとりの選択が、茶産地の未来に直結します。
✅ できること
急須でお茶を淹れてみる
地元産やオーガニック茶を選ぶ
茶農家直送のネットショップを応援する
茶摘みイベントに参加して現場の声を知る
日本の茶畑は、ただの農地ではありません。それは 日本文化・地域の誇り・人の手で紡がれた伝統の象徴です。
しかし、その風景がいま、音もなく崩れはじめています。
この問題は、農業の構造変化、高齢化、消費文化の変化という、社会全体の縮図でもあります。
だからこそ
お茶農家と私たち消費者、行政、地域が一体となって支え合い、次の世代へと継承していくことが必要不可欠です。