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月別アーカイブ: 2025年8月

山佐園の茶話~part20~

皆さんこんにちは!
有限会社お茶の山佐園の更新担当の中西です!

 

 

山佐園の茶話~part20~

 

同じお茶でもお湯の温度・時間・茶葉量で味は劇的に変わります。ここでは、家庭で再現しやすいレシピと、品種・蒸し加減の相性、冷茶&氷出しまでを一気に解説。保存と水のコツもまとめました。


1. 基本の道具と下準備

  • 急須(細かい網がベター)・湯冷まし・湯呑み

  • お湯は一度沸騰→湯冷ましで温度調整。

  • カップを温めておくと香りが立ちます。

  • できれば軟水が相性◎(ミネラルの強い硬水は渋みが出やすい)


2. 茶種別“はじめの一歩”レシピ

(茶葉量は1人分目安。お好みで微調整してください)

  • 煎茶(浅蒸し):茶葉2–3g / お湯100ml / 70℃ / 60–90秒
    → うま味と清涼感のバランス。

  • 煎茶(深蒸し)2–3g / 100ml / 65–75℃ / 30–45秒
    → 微粉が多いので短時間でやさしく注ぐ

  • かぶせ茶3g / 80–100ml / 60–70℃ / 60–90秒
    → まろやか。2煎目は少し熱めで短時間。

  • 玉露3g / 30–40ml / 50–60℃ / 90–120秒
    → とろりとした旨味。少量高濃度で楽しむ贅沢

  • ほうじ茶2–3g / 130–150ml / 90–100℃ / 30–60秒
    → 香ばしさは高温×短時間で。

  • 玄米茶3g / 120ml / 80–90℃ / 30–60秒

二煎目のコツ:温度を10℃上げて時間は半分。香りがふわっと開きます。


3. 品種・蒸し加減 × 抽出の相性

  • やぶきた:万能。70℃前後で甘渋バランス

  • さえみどり/あさつゆ:旨味系。**60–70℃**の低温が映える。

  • おくみどり:香り穏やか、深蒸し短時間がきれい。

  • 在来・香気系やや高温で立ち香を楽しむ。


4. 冷茶・氷出し・水出し ❄️

  • 水出し:茶葉10–15g/1Lを冷蔵庫で4–6時間。苦渋み少なめ、甘みすっきり。

  • 氷出し:急須にたっぷりの氷+茶葉ゆっくり溶けるのを待って少量ずつ。とろ甘の特別な一杯。

  • 急冷:70℃で短時間抽出→グラスにへ直接注いで急冷。香り華やか✨


5. よくある“惜しい”ポイント‍♀️→改善‍♀️

  • お湯が熱すぎて渋い → 湯冷ましを一回多く通す。

  • 味が薄い → 茶葉を気持ち多めに、時間は変えずに。

  • 粉っぽい(深蒸し)→ 短時間&静かに注ぐ。

  • 2煎目が冴えない → 抽出後の茶葉を開けっ放しにしない(乾かさない)。


6. 保管とフレッシュさを守るコツ ️

  • 光・酸素・湿気・温度を避ける。

  • 開封後は小分けチャックをしっかり

  • 長期保管は未開封を冷凍→使用分だけ冷蔵/常温。出すときは結露対策で常温に戻してから開封。


7. フードペアリング

  • 煎茶 × 和菓子・塩むすび

  • 深蒸し × 揚げ物・サンド

  • かぶせ/玉露 × チーズ・ナッツ(少量で)

  • ほうじ茶 × 焼菓子・チョコ・和スパイス料理


8. おうちで“茶時間”を育てるアイデア ⏳

  • 週末は品種違い飲み比べセットで小さなテイスティング会‍‍‍

  • 平日は水出しボトルでデスクに常備。

  • 季節の便りに合わせてレシピカードを入れ替えると続きます。

 

山佐園の茶話~part19~

皆さんこんにちは!
有限会社お茶の山佐園の更新担当の中西です!

 

 

山佐園の茶話~part19~

 

お茶は“畑の香り”をそのまま飲み物にしたもの。だからこそ、畑→摘採→製茶→仕上げの全部で香りが育ちます。この記事では、農家の一年を月ごとの段取りでたどりながら、現場で効くコツをまとめました。️


1. 冬(12–2月)—土づくりと樹勢の仕込み ❄️

  • 整枝・剪定:翌春の芽数と摘みやすさを決める大事な工程。畝ごとに“高さ基準”を写真で固定

  • 施肥(基肥):ゆっくり効くものを中心に。施肥量は前年収量・葉色・土壌データで見直し。

  • 排水路・風対策:豪雨と強風は“香りの敵”。溝さらい、支柱、畝肩の補修を冬のうちに。

  • 土壌チェック:pH・EC・有機物。お茶は酸性寄りが得意。データはロット名で保存


2. 早春(3–4月)—萌芽と防霜

  • 防霜ファン/散水/不織布の準備✅

  • 萌芽確認:畝ごとに発芽ステージを見まわり、被覆(かぶせ)開始の合図に。

  • かぶせ茶/玉露の被覆:遮光で旨味(アミノ酸系)が育つ。

    • かぶせ茶:目安1〜3週間

    • 玉露:目安3週間以上
      被覆開始・終了日は必ず記録


3. 初夏(4–5月)—一番茶の摘採と“蒸し”が勝負 ✂️

  • 摘採適期:基本は一心二葉〜三葉。**雨後は含水率↑**なので無理をしない。

  • 生葉の扱い:圃場から速やかに工場へ。搬入票に時間・畝・被覆有無を記録。

  • 製茶フロー(荒茶)

    1. 蒸し(浅蒸し/深蒸し)→ 2) 粗揉 → 3) 揉捻 → 4) 中揉 → 5) 精揉 → 6) 乾燥

    • 深蒸しは粉化しやすい分、抽出は短めを想定。

  • 歩留まりの目安生葉4〜5kg → 荒茶1kg。受入ロットごとに記録し、畝別の改善に。

  • 官能チェック:立ち香・滋味・後口。**“香りノート”**を作ると翌年が楽に


4. 梅雨〜夏(6–8月)—二番茶・病害虫・草管理 ☔

  • 二番茶:品質重視なら刈遅れ回避。一番茶後のお礼肥で樹を休ませつつ回復。

  • 病害虫の見回り:チャノコカクモンハマキ・ハダニ・カイガラムシなどは畝端・日当たり端から出やすい。

  • IPM(総合防除)被害葉の早期除去・捕殺・草生管理で圃場のバランスを保つ。

  • 草管理:足元の通風と作業性が香りを守る。猛暑時は早朝・夕方作業で安全第一


5. 秋(9–11月)—仕上げ・火入れ・合組

  • 仕上げ:荒茶の選別・整形で外観を整える。

  • 合組(ブレンド):畝・時期違いを組み合わせ、香味の再現性を作る職人仕事。

  • 火入れ:低温〜中温で水分・香りのチューニング。焙香は行き過ぎ注意、メモと小試験で詰める。

  • 保存遮光・低温・低湿・脱酸素。開封後は小分けが鉄則


6. “現場KPI”で強い畑にする

  • 収量(kg/10a)・荒茶歩留まり(%)

  • 水分・葉温・被覆日数・摘採日

  • 官能点(香・旨・渋・後口)

  • クレーム/返品ゼロ日数・EC/店頭のリピート率
    畝×時期×被覆で並べると改善点が見える


7. よくある失敗と回避法 ‍♂️→‍♂️

  • 摘採が遅れて渋味増 → 畝別カレンダー+“試し摘み”で前倒し。

  • 深蒸しで粉っぽい → 造粒の工夫/ふるい直し+抽出推奨レシピを同梱。

  • 火入れムラ → 小ロット試験→官能記録→温度再設定。一度に結論を出さない