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皆さんこんにちは!
有限会社お茶の山佐園の更新担当の中西です!
山佐園の茶話~part25~
11月のお茶農家は、比較的落ち着いた時期と思われがちです。
しかし実際には 「来年の新茶の品質を決める一番大事な時期」 と言っても過言ではありません。
立冬を迎え、朝晩は10℃以下になる日も増え、茶園は冬の眠りに向けてゆっくりと準備を始めています❄️
そんな11月の茶園では、秋冬仕立て、土づくり、病害虫の最終チェック、霜対策準備など、多くの重要作業が進められています。
ここでは、11月の茶園管理がなぜ大切なのか、どんな作業が行われるのか、来年の品質にどう影響するのかを、専門的かつ分かりやすく深掘りします✨
11月はお茶の木にとって “冬支度の段階” です。
日照時間が短くなる
朝露が増える
気温差が大きくなる
土壌温度が下がり始める
茶株の成長が緩やかになる
つまり「今の管理=来春に出る芽の質を左右する」ということ。
お茶農家の11月作業は、春を見据えた長期的な視点で進みます✨
11月の茶園の主役作業といえば、 “秋冬仕立て”。
これは来年の一番茶の芽が出やすいよう、枝葉を整える作業です。
放置すると
枝が込み合い、日当たりが悪くなる
新芽の出る位置がバラつく
収穫量が下がる
病気が発生しやすくなる
11月の段階で枝を整理しておくことで、
春の新芽の出る“スタートライン”が整います。
古い枝・枯れ枝の除去
混み合った枝を間引く
日当たりを良くするための上部調整
刈り落としで株を均一に仕上げる
この作業は技術の差が大きく出る部分。
数ミリの高さが翌春の芽出しに影響することもあるため、かなり繊細な仕立てが求められます✨
11月は肥料を与える“秋肥”の時期でもあります。
秋に肥料を与えることで
冬越しに必要な栄養を蓄える
根の生育を促し、春の芽の力を強くする
茶樹の活性を保つ
深根化による基盤作り
特に有機肥料を使う場合、分解に時間がかかるため、春に効かせるためには“11月”がベストです。
有機肥料(油かす・鶏糞・ぼかし肥など)
粒状化成肥料
堆肥のすき込み
土壌改良資材(ゼオライト・苦土石灰)
土壌分析に基づき、窒素・リン酸・カリの配合を調整する農家も増えています。
繁忙期と比べて発生は少ないものの、11月は“最後の見回り”の時期。
特に
チャノホソガ
カンザワハダニ
黄化現象
うどんこ病の初期症状
これらを放置すると、越冬して翌年に被害が広がります。
12月に入ると、地域によっては霜が降り始めます。
霜害は新芽が出る翌春に致命的な被害を与えるため、11月から準備を開始します。
防霜ファンの点検
給油・稼働試験
温度センサーの確認
茶園の風通しの調整
草刈りで地温低下を防ぐ
防霜ファンは、一番茶の品質を守る“茶園の守護神”とも言われる大切な設備です❄️
畝間の草刈り
排水路の整備
土の盛り直し
茶園周囲の片付け
冬の害獣対策
特に11月は“排水”が重要。
冬に雨が多い地域では、土壌が過湿状態になると根腐れが起きやすくなります。
お茶農家にとって11月は「静かだが最も重要な準備期間」。
まだ寒さの本番ではなく、茶の木も冬眠前の余力があるので、
株の整え
根の伸長
土壌改良
病気対策
が効率よく行えるのです。
人で言えば、冬に備える体力作り・ストレッチのような時期といえます
11月の茶園は、一見何も変化がないように見えて、裏では“来年の春の準備”が進んでいる大切な時期です。
秋冬仕立て
土づくり
病害虫チェック
防霜準備
排水改善
これらの積み重ねが、来年の一番茶の香り・うま味・品質につながります。
丁寧に整えた茶園は、春に必ず応えてくれる──
それが、お茶農家の11月の本質なのです✨
